今回は、科学の進歩によってなくなってしまった職業を5つご紹介していきます。
計算手 -human computer-
計算手は、科学分野における研究や技術開発のための計算を行う職業です。
コンピュータが実用化される以前は、科学分野などに用いる複雑な計算は、この計算手と呼ばれる数学に秀でた人間が担当していました。
19世紀までは計算のほとんどは男性でしたが、第二次世界大戦の勃発により男性の多くは兵として召集されたため、計算手は女性の仕事と認知されるようになりました。
ちなみに”computer”という語は、元々はこの計算手を表す言葉でした。
ランプライター -Lamplighter-
ランプライターは街灯に明りを灯す職業です。
現在は街灯といえば電気式が当たり前ですが、昔はガス灯が主流でした。ランプライターは夕方になると町を巡回してガス灯1つ1つに明りを灯し、また、朝にあると1つ1つ消灯していったのです。
電気街灯の普及に伴い、ランプライターのほとんどが職を失いましたが、実は現在でもクロアチアやポーランドの1部では今でもランプライターが勤務しています。
ヒル収集家 -Leech collector-
ヒル収集家は、文字通りヒルを集める職業です。
ヒルが分泌する唾液にはヒルジンという血液の凝固を防ぐ成分が含まれているため、瀉血に用いられていましたが、医療従事者にとって入手は簡単ではありませんでした。そのため、ヒル収集家が医療従事者の代わりにヒルを集め、それを販売していたのです。
ヒルの採取方法は至って簡単、収集家が川に行き、自分の足でヒルをおびき寄せるのです。
ですが簡単な仕事にはリスクが付き物、収集家たちは失血やヒルによって広がる感染症の影響に苦しんだそうです。
水運び -Water carrier-
水運びは飲料水を運び販売する職業で、主に1600年代にインドを中心に存在していました。
現在は町中に水道管が張り巡らされているため、蛇口をひねれば簡単に飲料水を入手することができますが、それ以前は川や井戸から水を汲んで家まで運ぶ必要があったのです。
日本でも、江戸時代には「水売り」そして「冷や水売り」というお水を売る職業が存在しました。「水売り」は飲料水を売る商売で、「冷や水売り」は冷えた水に白玉や砂糖を入れて販売していました。「年寄りの冷や水」の語源になっているのはこの冷や水のことです。
ヒキガエル医 -Toad doctors-
ヒキガエル医は、病気の患者にヒキガエルを処方する医者です。
18世紀から19世紀末にかけて、イギリス(特にイングランド西部)では、ヒキガエルには薬効があると考えられていました。そのため、ヒキガエル医が病気の患者にヒキガエルの粉末を飲ませたり、生きたヒキガエルを病人の首にぶら下げたりして体の不調を治そうと努めたそうな。
ちなみに、ヒキガエルには毒性があります。もし風邪をひいてもヒキガエルを粉末にして食したり、首からぶら下げたりしないよう注意してください。