【コーヒーの世界】国ごとに異なるコーヒー文化5選

コラム

コーヒーは今や世界中で愛される飲み物ですが、その楽しみ方や文化は国ごとに大きく異なります。一杯のコーヒーには、その国の歴史、風土、人々の生活様式が反映されており、ただの飲み物を超えて文化そのものを象徴する存在となっています。

例えば、朝の忙しい時間にサッと立ち飲みするエスプレッソ、家族や友人と語らいながらゆっくりと楽しむ伝統的なコーヒーセレモニー、練乳をたっぷり加えた甘いアイスコーヒーなど、同じ「コーヒー」という言葉でも、飲み方や味わい方には多様なストーリーが隠されています。

今回は、そんな国ごとに異なるコーヒー文化を5つご紹介していきます。

トルコのコーヒー文化は、単なる飲み物の枠を超え、「ユネスコ無形文化遺産」に登録されるほどの存在です。トルココーヒーは極細挽きのコーヒー粉を水と砂糖と一緒に小さな鍋(ジェズヴェ)で煮立て、粉をカップの底に沈めて飲むスタイルが特徴です。

特に結婚前の「花嫁テスト」では、新婦候補が新郎やその家族にコーヒーを振る舞う習慣があり、そこでの立ち居振る舞いやコーヒーの味わいが評価されることも。

また、飲み終わった後のカップに残るコーヒーの粉を使った「コーヒー占い」も、トルコ文化を象徴する興味深い習慣です。

イタリアでは「エスプレッソ」がコーヒー文化の中心にあります。イタリア人にとってエスプレッソは単なる飲み物ではなく、ライフスタイルそのものです。

バール(イタリアのカフェ)では、朝の忙しい時間に立ち飲みでエスプレッソを一杯飲み干す姿が日常風景です。重要なのは「質」。濃厚で香り高いエスプレッソを素早く、しかし丁寧に味わうことが大切です。

また、カプチーノは朝にしか飲まないなど、時間帯ごとにコーヒーの飲み方にもルールが存在します。

エチオピアはコーヒー発祥の地として知られています。ここでは「コーヒーセレモニー」と呼ばれる伝統儀式があり、これは単なる飲食ではなく、コミュニティや家族との絆を深める大切な時間です。

セレモニーでは、生豆を焙煎し、挽き、沸かし、そして小さなカップで3回に分けてコーヒーを振る舞います。それぞれのカップには意味があり、3杯目は「バラカ」(祝福)と呼ばれます。

この儀式を通して、エチオピア人は感謝と敬意を表すのです。

アメリカではコーヒーは生活の一部であり、「シアトル系カフェ文化」が広がったことで世界的にも大きな影響を与えました。

スターバックスをはじめとするチェーン店が代表的で、ラテやキャラメルマキアートなど、甘くアレンジされたコーヒーが人気です。また、大きなカップでコーヒーをテイクアウトし、移動しながら飲むスタイルが広まりました。

アメリカではコーヒーは「エネルギー補給」の意味合いも強く、忙しい日常の中で欠かせない存在となっています。

ベトナムでは「カフェ・スア・ダー」(練乳入りアイスコーヒー)が非常に有名です。金属製のフィルター「フィン」を使ってゆっくりと抽出されるコーヒーは、濃厚で甘みが強いのが特徴です。

また、卵黄と練乳を使った「エッグコーヒー」も観光客に大人気。口当たりはまるでデザートのようで、一度味わえば忘れられない体験になります。

ベトナムのコーヒー文化は、フランス植民地時代に伝わった技術と現地の工夫が融合した、独特のスタイルを築いています。

コーヒー文化は国ごとに大きく異なり、それぞれの国の歴史や文化、日常生活と深く結びついています。一杯のコーヒーには、その国の物語が詰まっているのです。

ぜひ、次にコーヒーを飲むときは、その一杯がどのような背景を持っているのか、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。