【用途様々】合金の種類10選

科学

金属同士が融合し、新たな性質を生み出す合金は、私たちの日常生活や産業において欠かせない存在となっています。今回は、合金の種類の中から10選をピックアップし、その特徴や用途についてご紹介します。

真鍮は銅と亜鉛からなる合金です。黄銅との違いがよく問われますが、黄銅は銅と亜鉛の合金全般を指すのに対し、真鍮は、その中でも亜鉛が20%以上のものを言います。

真鍮は加工性や電気伝導性などに優れており、また比較的価格が安いため、硬貨や金管楽器、アクセサリーなどに使用されています。実は5円玉にも真鍮が使われているんです。

真鍮は亜鉛の量は亜鉛の割合を増やすことで強度を増すことが可能で多岐にわたる用途がありますが、その分加工が困難となってしまうため、亜鉛の割合は最大でも45%ほどとされています。

ステンレスは、鉄に一定量のクロムとニッケルなど他の金属、そして炭素を含ませた合金です。

ステンレスは腐食に強く錆びづらいという特徴があり、機械の部品や建築物などに使用されています。また、熱伝導率が低いため、コップや水筒などに使用されることも多いです。

ただし、熱伝導率が低いがゆえに、真鍮などの合金と比べると加工が難しいというデメリットもあります。

ジュラルミンは、アルミニウムに銅やマグネシウムを含ませた合金です。

一定の強度がありながらも軽量であるため、主に航空機や鉄道車両の部品、また建築資材などに使用されるなど、非常に汎用性の高い合金です。

ただし、銅を含んでいるため耐食性は低く、仮に錆びてしまっても内部から腐食が進行してしまう場合も多いため、突然の破損が起こりやすい合金でもあります。

はんだは鉛と錫(すず)から作られる合金です。

最大の特徴は融点の低さにあり、その特徴を生かし、電子基板に金属部品を付けるために使用されます。ただし、はんだに含まれる鉛には毒性があり、近年では鉛を含まない鉛フリーはんだが使用されることが多いです。

ちなみに、はんだは紀元前3000年頃にはすでに存在したとされているため、非常に歴史の深い合金です。

ベリリウム銅はその名の通り、ベリリウムと銅から成る合金です。

非磁性であり火花を散らさないという特性があるため、油田の近くなど、引火の危険があるような環境下で使用する工具などに加工されます。

ただし、ベリリウム化合物には毒性があり、ベリリウム銅の加工には注意が必要です。

洋白は、銅と亜鉛とニッケルから作られる合金で、洋銀、ニッケルシルバーなどと呼ばれることもあります。

加工が容易で耐食性にも優れていることから、硬貨や楽器、装飾品などに使用されています。日本では500円硬貨にも使用されています。

ただし、洋白に含まれるニッケルは金属アレルギー反応を起こしやすいため、洋白でできたアクセサリーを身に付けると金属アレルギーを起こしてしまう場合もあります。

ニクロムはニッケルとクロムなどから成る合金です。

電気抵抗が大きく電気を通すと発熱しやすいという特徴があることから電熱線に使用されている合金です。そのため、電熱線全般をニクロム線と呼ぶこともあります。

ただし、現在では鉄・クロム・アルミニウムから成るカンタルが電熱線の主流となっています。

四分一(しぶいち)は銅3:銀1の割合で作られる日本古来の合金で、朧銀ともよばれます。

四分一は装飾品に使われる合金であり、特殊な薬品の中で煮込むと美しい銀灰色となります。

また、四分一を40%と赤銅という金と銅から成る合金を60%合わせたものを黒四分一といい、こちらは薬品で煮ると青みがかった黒色になります。

ローズメタルはビスマス・錫・鉛から構成される合金です。

融点が94℃~98℃ほどと低いため、はんだの代用品として使用される場合があります。また、チューブやパイプの中に解けたローズメタルを流し込むことで曲げ加工を行うということもあります。

ちなみにローズメタルの発見者はドイツの鉱物学者であるハインリヒ・ローゼの祖父、ヴァレンティン・ローズ・ザ・エルダーです。

トゥンバガは金と銅の合金で、先コロンブス期の南アメリカなどで宗教用具の製造などに使用されていました。

金の融点が約1065℃、銅の融点が1085℃であるのに対し、トゥンバガ(金70%:銅30%のもの)の融点は800℃前後と、それぞれの金属単体よりも著しく低いという特徴があります。

この低い融点によって加工が容易であったことから、古来よりこの合金が重宝されていたと考えられています。

今回は、10種類の合金について紹介いたしました。金属同士を混ぜることで、様々な特徴があらわれる合金は非常に奥が深いものです。

ただし、それぞれの合金には欠点も存在するため、今もなお新たな合金の研究がおこなわれているのです。

もしかしたら、人々の生活をより豊かにするような合金を生み出すのはあなたかもしれませんよ。

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