香辛料の王国、インド。その豊かな食文化の根幹を支えるスパイスは、料理に深みと香りを添え、地域ごとに独特の風味を生み出します。
今回は、そんなインドで愛されているスパイスを10種類ご紹介しいたます。それぞれのスパイスには、歴史と文化が息づき、料理に新たな世界を開く鍵となります。インドの香り高い食卓に触れ、スパイスの魔法に酔いしれてみませんか?
クミン
クミンはセリ科の一年草で、日本でもなじみのあるスパイスの一種です。
クミンはカレーパウダーの主原料であり、カレーの匂いの主成分は、このクミンの香りです。
カレー以外にも多くのインド料理にクミンが使用されており、インドの食文化はクミンの上に成り立っていると言っても過言ではありません。
カルダモン
カルダモンはショウガ科に属する植物で、インド以外にも、東南アジアやアフリカなどでも栽培されています。
ユーカリやレモンのような爽やかで上品な香りが特徴的で「スパイスの女王」と呼ばれることもあります。
また、スパイスとして使用される種子の大きさが小さいことから、サフラン・バニラに次ぐ高価なスパイスでもあります。
キャラウェイ
キャラウェイは、別名「ヒメウイキョウ(姫茴香)」とも呼ばれるセリ科の二年草です。
キャラウェイの種は、ほのかな苦みと甘み、そして爽やかな香りが特徴的で、カレーのスパイスの他、パンやお菓子に使用されることも多いです。
インドのみならずヨーロッパ各国でも愛されているスパイスで、特にドイツの郷土料理「ザワークラウト」にはこのキャラウェイが欠かせません。
ヒハツ
ヒハツはインド原産のコショウ科コショウ属の植物です。一般的なコショウよりも細長い形をしていることから、別名「ロングペッパー」とも呼ばれています。
コショウと同様にピリッとした辛味を持ちながらも、甘く爽やかな香りがあることから、インドではピクルスの香りづけに使われたりしています。
このロングペッパーことヒハツですが、実は歴史的に見るとコショウよりも前に発見されています。そのため、コショウの供給が安定するまでは、ヒハツは高級品として扱われていたのです。
フェヌグリーク
フェヌグリークはマメ亜科の一年草で、日本ではあまり馴染みがないですが、インドやヨーロッパなど、世界各地で利用されているスパイスです。
焦がし砂糖のような香りとほろ苦さを持ち、その種子はカレーやパンなど、様々な料理に利用されています。
また、古くから薬草としても利用されており、近年の研究では、フェヌグリークの種には脂肪蓄積抑制や血中コレステロール低下などの抗肥満作用があるということも判明しています。
アジョワン
アジョワンはセリ科の一年草で、主にインドやイランなどで生産されています。
スパイスの一種として日本でもよく知られているクミンと同じセリ科ですが、その香りはタイムやオレガノに似ていると表現されることが多いです。また、果実は小さいながらも強烈な苦味と刺激を持つため、料理に使用する際には分量に注意が必要です。
インドではレンズマメ料理の風味付けなどに利用されたり、チャパティに練りこまれたりしています。
タマリンド
タマリンドはマメ科タマリンド属の植物で、アフリカの熱帯が原産とされています。
独特な甘酸っぱさがあり、インドでは、チャツネというペースト状の調味料を作る際に使用されるほか、サーンバールやラッサムなどのスープのスパイスとして使用されています。
タマリンドは世界的にはフルーツとしても親しまれており、ドライフルーツやジュースなどに加工されることもあります。
アムチュール
アムチュールは、マンゴーを乾燥させて粉末状にしたスパイスです。
インドと聞いてマンゴーを連想する方は少ないかと思いますが、実はマンゴーはインド・ミャンマー地域が原産で、栽培の歴史は4000年以上にもなるのです。
アムチュールはタマリンドと同じく甘酸っぱさが特徴的なスパイスで、カレーやスープなどの酸味付けに使用されています。
カルパシ
カルパシは「ブラックストーンフラワー(Black Stone Flower)」とも呼ばれる地衣類の一種で、インドのみならず、温帯全域に生息しています。
生のカルパシは無味無臭の植物ですが、熱い油などで加熱するとスモーキーな風味になるのが大きな特徴です。
インドではカレーや肉料理などをより味わい深くするために使用しています。
チロンジ(チロンジシード)
チロンジ(チロンジシード)は、インドや東南アジアなどで栽培されているカシューナッツ科の落葉樹です。
チロンジの種子はアーモンドに似ていると言われているため、アーモンドの代用品として利用されることもあります。
基本的には種を利用することが多いですが、実をフルーツのように生食することも可能です。
まとめ
今回は、インドで愛されているスパイスを10種類ご紹介いたしました。
インドに訪れた際には、ぜひ現地の料理を食べて、五感でスパイスを楽しんでみてください。