【こんな名前が付いてるの?】身近な心理現象・認知バイアスの名前10選

雑学

私たちは、日常的に様々な心理現象や認知バイアスに基づいて行動をしています。

この私たちの意志を決定づける心理現象や認知バイアスの多くには名前が付けられていて、中には「この現象にはそんな名前が付いていたんだ!」というものもあるのです。

本記事では、身近な心理現象・認知バイアスに付けられた名称を10個ご紹介いたします。

「クラシックを聴いていると頭が良くなった気がする」と感じたことはありませんか?

このクラシックを聴くと脳が活性化するように感じる効果を『モーツァルト効果』と言います。

この効果の名前は、1993年にカリフォルニア大学の心理学者フランシス・ラウシャーらが世界的な学術誌Natureに、モーツァルトの楽曲を聞かせるとテストの結果が向上したという実験結果を発表したことに由来します。

1993年以降もモーツァルト効果については多く議論されていますが、残念ながら現在ではクラシックが直接的に知能を向上させることはないという見解が有力となっています。

「あの雲はソフトクリームみたいだな」「あの岩は人の横顔にみえるな」など、物体が全く別の何かに見えたり、全く別のものに聞こえたりする現象のことを『パレイドリア』と呼びます。

人間は生活の中で多くのものをパターン化しており、普段からよく知ったパターンに類似したものを見つけると、本来はそこに存在していないものをイメージするのです。

月のクレーターがウサギの形に見えたり、海外のスポーツ実況が日本語に聞こえたりする現象もパレイドリアの一種です。

「本屋に立ち寄ったら急にトイレに行きたくなった」という経験はありませんか?

このような書店に行ったときに急に襲ってくる便意のことを『青木まりこ現象』と言います。この名前は、1985年に青木まりこさんによってこの現象が提唱されたことに由来します。

この現象の要因としては、本のインクの匂いによって便意が促される説や条件反射説など、様々な説が考えられています。

ブランド品のバッグを購入すると、それに合わせて財布やパスケースなんかも同じブランドに統一したいと考えたことはありますか?

このように、何か1つの新しいアイテムを手に入れると、それに合わせて追加でアイテムを購入してしまうような傾向を『ディドロ効果』と言います。

名前の由来は18世紀のフランスの哲学者、ドゥニ・ディドロに由来し、彼自身が友人から高価なガウンをもらったことで、それに合わせて周りのアイテムも一新していったことからこの効果を提唱したそうです。

一説によると、ドゥニ・ディドロは借金を抱えてまで、ガウンに合うアイテムを買い続けていたそうです。皆さんはディドロ効果に囚われて買い過ぎないように注意してください。

「さっきお店で流れていた曲がずっと頭にこびり付いている」というような、音楽が頭から離れないような現象を『イヤーワーム』と言います。

イヤーワームはシンシナティ大学のジェイムズ・ケラリスらによって広められました。ちなみに、ケラリスが言うには、約98%もの人間が、このイヤーワームを経験したことがあるとのことです。皆さんの耳にはイヤーワームが住みついていますか?

何か大きな目標を達成し、他人から褒められたとしても「自分はそんなすごい人ではではないのに...」と、自身の能力を過小評価してしまうことを『インポスター症候群』と呼びます。

このインポスター症候群は、特に勤勉な人や完璧主義の人に現れやすいそうです。

何か大きな事柄を達成できたのであれば、それは紛れもなく自分自身の努力や技術によるものです。素直に頑張った自分を褒めてあげましょう。

友人や仕事仲間と話しているとき、時たま「なんでこんなことも分からないの?」と相手を卑下してしまうような感情に襲われることはないでしょうか。実はこの思考は『知識の呪い』という認知バイアスの1種なのです。

知識の呪いとは、自分の知っていることは相手も知っていると思い込んでしまうというバイアスです。この知識の呪いにかかってしまうと、相手の立場や思考を度外視した行動や発言が増えてしまうのです。

人とのコミュニケーションにおいて1番大切なことは、相手の立場を理解しようとすることです。この意識をしっかりと持っていれば、知識の呪いは祓うことができるでしょう。

久々に自炊した料理がスーパーのお惣菜よりも美味しく感じたり、日曜大工で作ったガタガタの棚に愛着が湧いているなんていう経験はありますか?

このように、部分的にでも自分の手で作り上げたものを過大評価してしまうことを『イケア効果』と言います。

名前の由来は組立て家具で有名な『IKEA』です。確かに、IKEAで買った組み立て家具ってなぜか必要以上に魅力的に感じてしまいますよね?

「ここまで出かかっているのになんか思い出せない」という現象を『舌先現象』と言います。

舌先現象は、英語では「Tip of the tongue phenomenon」通称TOTとも呼ばれる心理学用語です。

TOTが起こる原因については未だ謎が多いですが、記憶と感情の結びつきに関係しているのではと考えられているようです。

ロボット掃除機がかわいく見えたり、AIスピーカーとまるで友達同士の会話を楽しんでしまうなど、機械やロボットに対して愛着が湧いてしまうことを『たまごっち効果』と呼ぶことがあります。

名前の由来は、全世界で7,600万個以上販売されている日本のおもちゃ『たまごっち』です。

現在は機械には感情はなく、機械が自身に対する愛情を汲み取ることはできませんが、いつの日か機械に感情が芽生えたら、人間と機械が対等に関わり合うことができるのかもしれません。

今回は、身近な心理現象・認知バイアスに付けられた名称を10個ご紹介いたしました。

今回紹介した現象名が、受験や就職活動に役立つことはないかもしれませんが、お酒の席のツマミ話くらいにはなるかもしれませんよ。