IT分野の発展が著しい昨今では、プログラミング言語もその発展に合わせて様々な形へと進化しています。そのため、現在主流であるJavaやPythonといった言語を用いたシステムを、より可読性や処理速度、セキュリティ性能の高い言語へと置き換えていくというケースも少なくはありません。
本記事では、今後需要が増えていく可能性の高いプログラミング言語の情報をご紹介していきます。「新しい言語の学習に挑戦していきたい！」と考えている方は、ぜひ記事内容を参考にしてみてください。
これから求められていく言語の特徴
以下のような特徴を有する言語は、将来性が高く、これから需要増加に期待されています。
1.ITのトレンドに適している
2.従来の言語との互換性
3.安全性が高い
ではそれぞれの特徴について詳細を解説していきます。
1.ITのトレンドに適している
言語の需要増加にはITのトレンドが深く関わってきます。
例えば、現在多くの企業が力を入れているAI技術には、膨大なデータ・パターンから最適な行動を算出するという処理が欠かせません。そのため、より情報解析能力に優れた言語が求められます。
また、仮想空間でのコミュニケーションツールとして注目を集めているメタバースには、大人数が同時接続しても遅延によるストレスなく利用できるように、より処理速度が速い言語が用いられることが多いです。
このように、最新のトレンドとなる技術を実現できる性能を持った言語は、今後の需要が高まっていくことでしょう。
2.従来の言語との互換性
従来の言語より優れた性能を持つ言語があらわれた場合、その新しい言語を取り入れていくことは重要です。
しかし、大規模なシステムを新たな言語で一から開発しようとすると、開発が終了するまでには膨大な時間が必要となります。もちろん、開発終了まで既存のシステムを停止するわけにもいかないため、新言語を用いたシステムを既存のものに少しずつ組み込んでいくような対応をとるのが一般的でしょう。
例えば、C言語に対するC＋＋やJavaに対するKotlinといったような互換性のある言語を導入することで、既存システムと新システムの連携が容易になるため、よりスムーズにシステムの移行ができることでしょう。
このように、従来の主流言語に対して互換性を持つ言語も、今後の需要が増していくと考えられます。
3.安全性が高い
生活のデジタル化が進む中で重要視されていることは、システムの安全性です。
例えば、公共交通機関のシステムがバグで停止してしまったり、携帯電話会社のシステムから顧客情報が抜き取られてしまったりした場合、その損害や社会に対する悪影響は凄まじいものでしょう。人が安心・安全に生活を送るためには、システムの安全性はとても重要なポイントです。
近年開発された言語は、処理速度や互換性だけでなく、バグ対策やセキュリティ性能を強化したものも少なくありません。人々の安全のためにも、今後はそのような言語が重宝されていくことでしょう。
注目の言語一覧
1.Dart
Dartは2011年に公開されたGoogleによって開発されたプログラミング言語です。
元々はJavaScriptの安全性などの課題解決のために開発された言語であるため、JavaScriptから移行しやすいという特徴があります。そのため、Web上で動作する高性能なプログラムとして認知されていました。
また2018年頃、「Flutter」というモバイル開発向けフレームワークが発表されました。このフレームワークを利用することで、iOS・Androidの両方で高速に動くアプリの開発が可能です。そのため現在では、モバイルアプリケーション開発分野においても注目を集めています。
OS依存の無いモバイルアプリ開発ができるという強みは、特に世界的に利用されるような大規模なアプリ開発との相性が良いため、Dart / Flutter は今後ますます重宝されていくことでしょう。
2.Rust
Rustは、2010年ごろに登場した、CやC++の機能性や安全性の向上を目指して開発された言語です。
CやC++は、処理の速度が速いというメリットがある反面、メモリの安全性に対する課題がありました。Rustは、高速処理を維持しながら高いメモリ安全性を実現することが可能なため、DropboxやFireFoxなどの大規模かつ高速処理が求められるソフトウェアでも活用されています。
また、並列処理の安全性も高いため、マルチスレッドプログラムの開発言語としても注目を集めています。
習得難易度が高いため、Rustを利用した本格的な開発を行うためには、多くの学習時間が必要となりますが、CやC++の代替として需要が高まる可能性が高いため、習得しておくと活躍の場が広がると考えられます。
3.Elixir
ElixirはErlangの仮想環境上で動作する関数型言語として開発されました。
Elixirは拡張性が高く、優れた並列処理能力があるため、特にWeb系の開発において利用される場面が多いです。
最大の特徴としては「スーパーバイザー」という機能があるという点です。スーパーバイザーはシステムの障害を発見しやすくする機能で、これを利用することで細やかなバグの修正をしやすくなります。この耐障害性に優れているという点が、Elixirの一番のメリットと言えるでしょう。
Erlangの代替として開発された言語ですが、構造はRubyに似ているため、Rubyを利用する企業が今後Elixirを導入するというケースも増えていくと考えられます。
4.Groovy
Groovyは2003年に登場した、Javaの利便性や機能性を高めた言語です。
Javaの性能を向上させた言語と言っても上位互換というわけではなく、どちらかと言うとJavaと共存する言語というイメージです。
GroovyはJavaのAPIが利用できるため、Javaとの相互利用が可能です。また、コードが簡潔なため、開発効率の向上につながるというメリットがあります。
Javaで作られた既存システムの機能拡張に適しているという特性から、GoogleやNetflixなどの国際的な企業でもGroovyが用いられています。
利便性や機能性の高い言語が数多く登場している現在ですが、既存システムをそのような新言語を用いて再構築するのには多くのコストを要します。多くの既存システムで用いられているJavaと共存できるGroovyなら、開発コストを抑えることが可能なため、利用される機会が増えていくことでしょう。
5.Haxe
Haxeは2005に登場した、マルチプラットフォーム開発を目的とした言語です。
Haxeでは、Web・デスクトップ・モバイル・ゲームといった幅広いプラットフォームがサポートされています。そのため、多種のプラットフォームに対応した開発をすることができます。
最大の特徴はクロスコンパイル性能の高さです。Haxeで記述されたコードは、JavaScript・Flash・C++・Java・C#・Pythonといった多言語へと変換することが可能です。この利便性の高さは、開発効率の向上に大きく役立つでしょう。
プログラミング言語の多くは、Webやモバイルなど、活躍の場が限定されるものが多いです。Haxeなら様々な分野の開発をすることが可能なため、もし習得できたなら様々な場面で活躍できることでしょう。
初心者はどんな言語を選べばいいのか？
前章で挙げた言語は、いずれも高い将来性に期待できるため、習得できると今後重宝されることでしょう。
しかし、新しいシステムを開発するためには、まずは既存システムの詳細を知っておく必要があります。現在稼働しているシステムの多くは、JavaやC、Pythonなどの2000年代以前に登場した言語を採用しています。
また、比較的新しい言語はまだコミュニティが活発でなく、情報収集が困難な場合があります。
プログラミング初心者の方が言語を選択する際は、ソースコードの読解力を高めるという点や、情報収集の容易さを考慮して、JavaやPythonを選ぶことをおすすめします。（CやC++はめちゃくちゃ難しいためあまりおすすめできません、）